私はカミさんと愛猫と暮らしています。猫はメインクーンという種類で女の子です。この子が「おーちゃん」(オーロラ)です。おーちゃんは年が明けるとすぐに6歳になる「中年ネコ」です。白の部分が多い三毛で、大型種であるメインクーンにしては少し小さな方です。両手で包める程の子猫のときに家にやってきました。以来、ずっと我が家を縄張りとして、パトロールを続けてくれています。感謝しています。

メインクーンは世界最大の猫種で世界記録を持つものは体長120cmだそうです。よくネットに掲載されている「飼い主が抱ききれない程の巨大なネコ」がそれです。メインクーンは米国メイン州で種として確定されたアライグマ(ラクーン)の様なネコです。性格は穏やかで、ヒトによく懐きますが、抱っこや膝に乗るといったことはしません。おーちゃんも大体いつも私かカミさんから1m程度離れた場所にいます。コロナ禍で前の会社の仕事がほとんどリモートワークになったこと、早期退職後に私が家にいる時間が増えたこともあり、ずっと構ってくれる私を一層気に入ってくれ、最近は私が家にいるときにはほぼ四六時中私のそばにいます。カミさん曰く「私の憑き物」だそうです。気付くとキャスター付の椅子のすぐそばで長々と横になっており、キャスターで踏みつぶしてしまわないか、毎度ヒヤヒヤしています。

おーちゃんは相当にグルメな子で、気にいらないフードは匂いを嗅いだだけで「瞬殺」して、一口も食べません。これまでに何種類のフードを開封5分で捨ててしまったことでしょう。好きなものはフリーズドライのササミ肉と歯磨きスナックと毛玉ケアスナックです。おやつばかりが好きで困ったものです。フリーズドライのササミ肉はどちらの家のネコ様をお好きな様子で、遠くない未来に地球上のチキンはすべてネコに食べつくされてしまうかも知れません。ネコは腎臓が弱い生き物なのですが、おーちゃんは水を沢山飲んでくれるので、その点では先ずは安心です。しかし、腎臓が悪いので大量に水を飲むということもあるというので、油断はできません。そろそろ「中年後期」に入るので、病院での健康診断で先生にいろいろと相談をすることにしています。

よくペットを躾けるといった話を聞きますが、おーちゃんには「したい様に」させています。私が好きなように過ごしているのに、他の家族にあれはダメ、これもダメなどと言える訳がありません。ネコは本当に賢い生き物で、おーちゃんは躾などしなくとも、家族の中できちんと互いに気持ちよく暮らせるように、気を使ってくれています。まあ相当に勝手なところもありますが、それが「ネコ」です。

私が中学生のころ家に数匹の野良猫が居つき、家族と仲良しになりました。ごはんをあげたり、一緒に遊んだりと楽しい時間を分けてくれましたが、ある年の冬にバタバタと皆、病気で死んでしまいました。思えば、この子たちに十分なケアをしてあげることができなかったことを今も後悔をしています。

ネコ好きはネコが死ぬことを「虹の橋をわたる」といい、再び、その家に戻ってくることを「お着換えをする」などと言ったりします。窓際で外を見ながらくつろいでいるおーちゃんに「おーちゃんはあのときの子がお着換えをして、家に戻ってきてくれたのかい?」などと話し掛けますが、勿論、返事はありません。「どうでしょうかね」とばかりに小さく尻尾を振ります。

おーちゃんは歩いても何一つ音を立てません。また、まったく「匂い」がありません。体に鼻を押しつけて匂いを嗅いでも、まったくの無臭なのです。ネコは気配を消す天才です。いつの間にかいて、いつの間にかいなくなります。

家族は長い間、同じ時間を同じ空間で過ごし、やがて、お互いが空気の様な自然な関係になっていきます。それだけにいなくなったときの喪失感が長く、そして消えることなく続きます。そんな日がいつまでも来なければよいのにと時折考えます。

他の部屋をパトロールしに出掛けたおーちゃんが音もなく匂いもなく、私のすぐそばに戻ってきます。そして、私を見上げ、小さく「帰ってきましたよ」と鳴きました。

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