最近、「生き方を大きく変えた人」を取材したTV番組を多く目にする様になりました。「移住」「起業」「転職」「学び直し」… 決断をした人たち、みんな「いい顔」をしています。TVで放送するくらいですから、恐らく成功した人ばかりが紹介されていて、きっと「ダメだった」と肩を落とす人がその裏には多数いる様に思います。

何も踏み出さない人が、取り敢えず安全だというだけの場所から、辛い思いをしている人を冷ややかにあーだ、こーだという資格はありません。一度でもどこかの舞台から飛び降りたことがある人はきっと「みんな頑張っているな」と、今は辛い思いをしている人に共感を覚える様に思います。

どこで何をしていても、結局は流れる時間の量は皆同じで、そこで得る人間の経験に関して優劣はありません。どんな巡り合わせで「過去」や「今」や「未来」があっても、それはその人だけの大切な、かけがいのないものだと「近頃」は思うようになりました。以前はいろいろと「計って」いた様に思うのです。自分の小さなモノサシで。

「はかれないものをはかる」(工藤あゆみさん著/2018年青幻舎)という本があります。どこかで、この本のことを知って、図書館で借りて読みました。というか、短文とほっこりするイラストからなるこの本を楽しく鑑賞しました。力が入り過ぎない様に、独りよがりにならない様に、心を脱力させるために、常備してパラパラとめくりたいと思う本です。

本には、晴れない思いや、誰かへの感謝や、こうありたいと思う気持ち、そんなものが敢えて「はかる」というフレーズで表現されています。これが実際には「はかれない」けれど、確かにそこに存在している、漂っているものの特質を際立たせています。

ところが、肩に力が入っていたり、常に誰かとの優劣を考えることが習慣になっていると、自分の小さくて、いじわるなモノサシで本来は「はかれないもの」すら計ってしまいます。結果として得られるのは「自分の小さな満足」だけ。これではいけません。

「はかれないもの」のことを大切に受け止めて、噛みしめる、考えてみる。辛い思いをしている人のことも「はからず」に、ただガンバレ!と応援をする。当たり前のことですけれど。

暖かな鍋料理が溶かす心の氷柱の体積を測る。おそまつ。

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