現役の頃は一年中「積み残し」があった様に思います。会社のこともそうだし、家のこともそう。何一つ満足に終えることなく「次」が積み上がっていく。あれ、どうやって終わっていたんでしょうね。結局、自分では何も終わらせることができずに、ただ時に埋もれてしまっていたのかしら。

週に数日だけ働いている仕事は「定時に始まって、定時に終わる」ので、残業も無ければ、「積み残し」もありません。うまくやれなかったなぁ、という軽い敗北感を仕事が終わった後に感じますが、それも暫くすればケロっと忘れてしまいます。呑気なものです。

子供の頃に放課後の校庭で何度となく聞いた「遠き山に日は落ちて」(ドボルザーク、交響曲9番「新世界より」第二楽章)にある「今日の業を為し終えて」という歌詞が、ずっと心に引っ掛かっていました、というか今も引っ掛かっています。「今日の業を為し終えて」、そんな安らかな気持ちで一日を終えたことがこれまでにあったのだろうかと。

エアコンのフィルターを掃除しました、車の洗車をしました、粗大ごみの引き取り手続きを市役所にしました、分厚い本を読み終えました。最近は、こんな小さなことを終える度に「今日の業を為し終えて」などと呟きます。また、いつか「厄介なこと」「時間も掛かり、体力も頭もフル回転しなければならないこと」が起きたときには、懸命に立ち向かわざるを得ないのでしょうから、今は取り敢えず、こんな小さな「業」だってきちんと終えて、心の安寧を得ている訳です。あまり達成感もないけどね。でも、それが「退職者ライフ」というものかも知れません。

果たして、オトーサンたちの「家事ごっこ」は役にたっているのか、オカーサンに評価してもらっているのかを調べてみました。開けてはいけない「パンドラの箱」だったですかね。
※出典:LINEリサーチ 「好きな家事・嫌いな家事に関する調査」(2020.11)

<男性の好きな家事>
1位「買い出しをする・買い物に行く」(35.8%)/2位「ご飯を作る」(28.1%)/3位「お皿洗いをする」(16.6%)/4位「掃除機をかける」(16.0%)/5位「片付け・整理整頓する」(14.7%)/6位「ごみ出しをする」(13.4%)/7位「お風呂掃除をする」(12.6%)/8位「洗濯物を干す」(12.2%)/9位「洗濯物をたたむ」「トイレ掃除をする」(7.0%)

<女性の嫌いな家事>
1位「片付け・整理整頓する」(25.7%)/2位「トイレ掃除をする」(23.7%)/3位「お風呂掃除をする」(22.0%)/4位「アイロンがけをする」(21.4%)/5位「ご飯を作る」(20.7%)/6位「ふき掃除をする(床・窓など)」(20.2%)/7位「お皿洗いをする」(15.6%)/8位「裁縫をする(ボタンの付け替え、縫い物など)」(15.4%)/9位「キッチンの掃除をする」「洗濯物・衣類をしまう」(10.5%)

「家の仕事をした」と得意げな顔をしていると、カミさんによく怒られます。「家事といっても好きなこと、楽なことばかりでしょ」って。そうですね… 女性が「嫌い」と言っている家事で、男性が好きな家事に入っているものって、数えるぐらいしかありません。重点施策はズバリ、「トイレ掃除」と「アイロン掛け」です。「ちょっとやってみるよ」なんて健気に奥様に言うだけで、好感度が爆上がりに違いありません。TRYしてみますか。


私たちは砂時計の砂粒の様なもので、一日毎にひっくり返されて、周囲の他の砂粒と同じ様にただただ上から下に流れていく。そんなことを混み合う駅の階段を下りているときに考えます。一粒の砂では何もできないけれど、同じ時代を生きている人たちと一緒に生きている、ただそれだけで「何かを為しているのではないか」などと都合よく独り言ちる訳です。

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