勤め先からの帰り道、最寄りの駅で降りるとポツリポツリと雨が降っていました。これくらいだったら、傘はいらないなと思い、家に向って歩き始めましたが、その中にだんだんと強くなって、家に着くころには結構にびしょびしょになっていました。

こういう判断ミス?昔からよくやるんですよね。逆も然りで、雨が強いからとコンビニで傘を買って表に出たら、それまでの雨がまるで嘘のように止んでしまったとか。大して荷物にもならないんだから、小さな傘を常備していればいいだけなんですけどね。そういう「用意周到」がどうにもできません。

それで、まだ小雨の中、夜道を家に急いでいると、道にパジャマ姿の80歳くらいの大先輩がいて、ぼーっと空を見上げていたのです。「まだ、降ってるな」みたい感じで、ただぼーっと。余りに無警戒で、何の険しさもないその表情に、瞬間見入ってしまいました。

いいなぁ、後十年もしたら、私もあんな感じで、夜を迎え、夜の空気を嗅ぎ、暗い夜空を見上げたいと思ったのです。

きっと、私たちは「楽しい老後」「満たされた老後」「勝ち組の老後」みたいな気味の悪い妄想に毒されているのです。とっくの昔にいかなる場面でも若い人たちに世代交代しているというのに、まだ世界を動かしているのは自分だ!みたいな、滑稽な姿を周囲に晒しているのです。

何も起きず、退屈で、大事にもされず、少しずつ動きが緩慢になり、貯えが心配で贅沢もできない…そんな面白くも、おかしくもない老後をただただ「ぼーっ」として生きる。今はまだそんな境地にはありませんが、人生最後の「望ましい姿」がようやくわかった様な気がします。

そうしたら、もう安心です。オレには輝かしい未来、ぼーっと夜空を見上げる日々が待っている。おそらく、ずっと待っていてくれることでしょう。そう思ったら、また明日から忙しく「ひーひー」と言って過ごす毎日をがんばれそうに思うのです。

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この2週間程度、帰宅時の電車の中で読んでいた海外ミステリをついに読み終えました。面白かったぁ。さて、来週はどんな本を読み始めますかね。

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