飲みに行って「後は適当に頼んでおきますね」などと若い人に言われると「お、おう」と答えるしかできず、結局最後まで好きなおつまみが登場しないということがあります。鷹揚な年配者を演じるのは少しも楽しくないのです。一声、「ハムカツとシューマイ」と吠えたい気分です。えっ、そんなもの食べたくない？
お酒を飲むときに食べるのは「肴」であり、「つまみ」であり、「アテ」です。言葉にこだわる面倒な人たちはこれを区分したいのでしょうが、お酒を飲んでいるときに食べるものは、すべて、肴＝つまみ＝アテということで、このエントリは書いていきます。
スナックでしか見たことがない「アポロチョコ」も、一度もスムーズに発音ができたことがない「バーニャ・カウダ」も、場合によっては「カレーライス」だって、おつまみになりうるのです。
「カレーライス」は手で摘まめないから「おつまみ」ではない？ インドの方々に無知を詫びて下さい。発祥の地では立派に「お摘み」です。右手だけを使ってね。
コロナ禍でお店で飲むことが禁じられても、我々は少しも困らずに淡々と家飲みを始めました。自宅というのは「閉店時間のない飲み屋」であることを再認識した訳です。
通販を駆使して、世界中の名酒が玄関に届けられます。そして、大して味の違いなど分からないのに「うひゃー、これは辛いや」とか「フルーティだね」とか、近くに誰かいたら赤面してしまいそうなことを言ったりします。近くに家族がいますが、あなたはもはや「存在の耐えられない軽さ」であり、あなたの恥ずかしい感想は、「ねぇ、お母さん、今、誰かが何か喋った？」などと心霊現象の一部として処理されます。
さてさて、みんなが好きなおつまみランキングを探してみました。チェケラ！（Check it out！だよ） ※出典：マイナビニュース 「お酒の定番おつまみ」ランキングを発表！ 最も好きなのはどれ？（2020年5月）
1位「焼き鳥」(14.1%) 2位「から揚げ・天ぷら」(10.4%) 3位「枝豆」(8.5%) 4位「刺身」(6.6%) 5位「餃子」(6.4%) 6位「チーズ」(5.2%) 6位「ナッツ類」(5.2%) 8位「スナック類」(4.4%) 9位「ソーセージ」(4.1%) 10位「柿の種」(3.3%)
予想通りというか、何も意外性のない「まんま」の結果です。そうだよね、結局居酒屋さんに行っても、ほぼこれらの「おつまみ」ばっかり頼んじゃうよね。けれど、少しも飽きずにサラリーマンになってから、サラリーマンでなくなるまで、40年くらいの間、延々と食べ続けている訳です。今だって、これらのおつまみの名前を読むだけで、ビールやら、チューハイやらが飲みたくなってしまいます。パブロフの犬の気持ちがよく分かるでしょ。
ちなみに女子が好きな「おつまみ」ランキングなんていうのもあって、さぞかし「しゃれおつ」なものが並んでいるだろうと思うと、一般回答以上に「シブい」嗜好なのです。
1位「チーズ」 2位「から揚げ類」 3位「乾燥したイカ類」 4位「枝豆」 4位「ポテチなどのスナック類」 6位「エイヒレ」 オヤジかよ..
※出典：CanCam 女子が本当に好きな「酒のつまみ」ランキング（2017.6）
中高年のお酒の席に珍しく「女子」がいても、気を使って「三陸産のオイスター」だの「パルマの生ハム」だの「フランスパンとレバーペースト」だのを注文しなくてもOKです。きっと美味しそうに炙ったエイヒレを指で摘んで、マヨネーズを付けて食べてますから。そして、いつの日か女子を卒業して、ステキなマダムではなく、立派な酒飲みになるのです。
たまには新鮮な海産物を中心に飲むのも楽しいでしょうし、各地の珍味の微妙な味にTRYするのも一興です。（珍味であって美味しい訳じゃないんだよ） けれど、私は、究極の選択って奴を迫られたら、やはり、いつもの定番おつまみが食べたいのです。体に悪そうなものが多いのにね。
そうそう、体に悪いといえば、散々飲み食いした後に食べる「締め」というものがあります。何でも「6割」程度の人が飲んだ後に「締め」を食べるそうです。勿論、「締め」はラーメンで決まりです。さぁ、「締めた」から帰りますかね、いえいえもう一軒「はしご」と行きましょう。
