「高齢者雇用」に関する月刊誌なんてものがあって、その最新号の特集が「即戦力となるシニア人材の確保へ」。「即戦力となるシニア」、この言葉に少し「引っ掛かり」ました。別にカチンと来た訳ではなく、おや?と思ったのです。ちなみに今日(6/12)は、カミさんの病院での検査の付き添いで、会社は一日お休みを取りました。

いきなりですが、年寄りの扱いには困ります。年寄りの私が言うのですから、お許しを。会社に残ってもらっても、その処遇が面倒ですし、そもそも年寄りにできる仕事自体が限られています。その中に「再雇用者」による仕事の奪い合いみたいなことをおきそうです。もう、起きている?

きっと、日本の場合、誰かが「再雇用者」のための仕事なんてものを社内に作り出すことになって、しばらくは何となく「よっしゃ、よっしゃ」となるのでしょうが、いずれ誰か「新任」の管理職が変革、刷新を唱えて、お終いとなる… そこまではお約束みたいな感じがします。

一方で、退職して、再就職する場合には、当然ながら「再就職先の採用選考」を経ることになります。その際に最も重視される採用基準は「すぐに戦力になるか」ということなのでしょう。「中高年を採用して育てる」なんてこと、ありませんからね。仕事を覚える、一人前になるまでに時間を要する仕事というのは、若い人のものですよ、当たり前。

だから、シニア向けの仕事というのは、大した技能も、経験も、知識も不要で、すぐに「即戦力」として現場に投入できるものが大半なんでしょうね。カンタンで、誰でもできる、だから低賃金…

それが、これから幾つかの経営環境の変化が起きることで、「シニアの採用」の様子が変わってくるように私は思っているのです。幾つかの変化とは、①少子高齢化による人手不足の加速 ②AI化/ロボット化の進展による「ヒト」に求められるものの変化 ③ITが分かって頭と手が動かせる「シン・シニア」の大量発生、こんなところでしょうか。

人手不足は「若い」とか「シニア」とか言っていられない事態が、もう目の前まで迫っているのではないでしょうか。現場系の仕事だけでなく、ホワイトカラーのオフィス業務でも頭数が足りなくなる事態がやってくる。

これからの「ヒト」に求められるものは、教育や訓練による得られるものではなく「地頭」。日々変容するビジネス自体への理解と、これを前提としたAIやロボット(含:RPA)ではできない臨機応変の判断と対応。勿論、これには「若い」も「シニア」も関係はない。

パソコン?できない、MSオフィス?使えない、データ分析?できない、あと5年もすれば、こんなシニアの方が極めて少数の存在になって、再就職したその日から、基本的な業務はちょっとしたレクチャですぐにできてしまうなんて「シン・シニア」が普通に労働市場に発生する様に思います。

すると、あと5年もしない中にシニア労働市場というは二極化してしまうのでしょうかね。年齢に関係なく「新しい仕事のやり方」ができて企業で働き続ける人と、いわゆる中高年向けの現場仕事に従事する人。まぁ、今も一緒か。

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いろんなところで「若い中に読んでおけ」と高い評価を得ている「具体と抽象」(細谷巧さん)を図書館で借りて読んでいます。面白いなぁ。企業で蔓延する「もっと分かりやすく」「カンタンに説明しろ」といった乱暴なアプローチが、実は大切な発見を最も妨げてきた元凶の様に思えてきました。

何でもかんでも「単純に解けるモデル」に問題を作り変えるのではなくて、もっとみんなで「つべこべ」言うべきでした。

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