時間旅行ができるとして、人は過去と未来のどちらに行きたいか。そんな調査がありました。結果は「過去に行きたい」が圧倒的に多い。理由は、「人生をやりなおしたいから」。男性も女性も6割がそう答えています。みんな、「過去に戻って、やり直したら、次は上手くいく」という確信があるのです。きっと、タイムマシンなんかできちゃうと「オレ、これ30回目のやり直しなんだよね」とか言う奴だらけになっちゃう。

さてさて、「人生をやり直す」と言ったときに二つのアプローチがあります。一つはタイムマシンを開発する。もう一つは遅ればせながらも「これから頑張る」というアプローチです。前者は勝手に頑張ってもらうとして、中高年にとって「これから頑張る、人生をやり直す」というのは人生最後のギャンブルです。
ちなみに「人生をやり直す」のは50代が最後の様子で、ネットでググると山の様に「50歳から人生をやり直したい人」への(無責任な)アドバイスページが出てきます。一方で60歳以上の人が「これからやり直せますか」という人生相談をすると、「頑張ってください」という回答ならぬ「応援」が返ってくることになっています。こりゃまた無責任な。

多くの場合、「人生をやり直したい」と言う言葉は、「実際はそんなことができないけれど、人生をやり直せたらいいのに」という意味を含んで語られます。
故に、実際に「人生をやり直せる」20代や30代の人たちは、こんなことは言わずに人生をやり直してしまいます。具体的には、「転職する」「結婚、離婚する」「勉強し直す」「借金を返済する、自己破産する」といったことです。所謂「リセット」です。何故リセットボタンをポチっと押すかと言えば、その後に頑張れば、それ以前に比べて、よい状態になることが期待できるからに他なりません。

ところが、40代50代は「リセット」をして頑張っても今以上によい状態にはならない、もしくは心が折れていて頑張ることができない、そもそも「リセットボタン」を押すことが許されていない。勿論、「今より底はない」という辛い状況であれば、有無を言わせずしてリセットしてしまうということもあるでしょうが、リセットしても再び「種類は違うが、やはり底」になるだけということもある訳です。人生は辛いですね。リセット後、リブート(再立ち上がり)しないということもありますしね、怖ぇぇ。

さてさて「人生をやり直す」具体的なオプション(選択肢)である「結婚」に関する調査を眺めます。※出典:楽天オーネット 「既婚男女の結婚に関する意識調査」(2017.11)

Q:結婚してよかったと思いますか?
A:とてもよかった(男性46.4% 女性29.3%)、まぁよかった(男性33.5% 女性51.3%)、よくなかった(男性3.1% 女性5.8%)

奥さんが怒っていたり、不満に思っていることをダンナさん、わかってます?という結果ですね。ダンナさんは勝手に「あー、幸せ」なんて思っている訳です。ちなみに、国勢調査によると2020年時点での男性の生涯未婚率は25.7%なのだそうで、結婚することも今は難しい時代です。(1985年では3.9%) まぁ、「結婚なんてしたくないよ」という人もたくさんいますけどね。

Q:人生やり直せるとしたら、今のお相手と結婚しますか?
A(全体):同じ人と結婚する(23.6%)、迷うかもしれないが同じ人と結婚する(22.9%)、結婚する気はない(19.5%)、わからない(34%)
A(55歳~59歳):同じ人と結婚する(男性17.9% 女性30.3%)、迷うかもしれないが同じ人と結婚する(男性28.6% 女性27.3%)、結婚する気はない(男性17.9% 女性21.2%)、わからない(男性35.7% 女性21.2%)

「結婚してよかったですか」という問いへの回答と上手く合致しない結果になっています。男性は「今の結婚はとても幸せだけど、次は別の人でもいいや」と考える人も多く、女性は「そこそこに幸せなので、まぁ、次もこの人でいいや」ということになっています。こりゃまた、ダンナさんは勝手な生き物です。

また、年代別に比較すると、男性は30代からどんどん「同じ人と結婚する」が減って行って、そのボトムが50代後半になっています。愛情は冷めるものであることが立証された訳です。
一方で女性は50代後半が「同じ人と結婚する」のピークなのです。想像するに、きっと、奥さんはダンナさんのことが「可哀想」になっちゃうんですよ。今まで家に帰ってくると威勢よく会社での武勇伝を話していたダンナさんが役職とかなくなって、滅多に会社のこととか話さなくなる。「私が面倒見てあげなきゃ」って思ってくれるんでしょうね。ありがたや。

サラリーマンにとって「早期退職」は「人生をやり直す」という夢を叶える最後のチャンスの様に思います。ということは「早期退職」を選んだ「あなたと私」というのはギャンブラーということですかね。ギャンブルは止めてしまえば「負け」が決定してしまうが、止めなければいつか大逆転があるかも知れないというものだそうです。
早期退職を選択した「私」や「あなた」が、いつの日か振り返ったときに、この判断は自分にとって正しかったと思えるといいですね。

私は過去に戻ることには関心がありません。だって、結局、同じことをするだけですし、今までの人生を塗り替えようとも思っていないからです。ここに至るべくして、ここに至った。ただ、それだけですしね。

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