35年の間、スーツを着て会社に行く生活を過ごしてきました。2021年4月からの新しい職場にはスーツで通勤する必要も、スーツで働く必要もなく、大量に「ほとんど着ない服」が突如として出現してしまいました。

ちなみに新しい職場は建物を管理する仕事で、会社から制服の上下を支給されています。結構に可愛いデザインです。

これまでの仕事着(スーツ)の棚卸しをしたところ、スーツが30着、ネクタイが200本、ワイシャツが150枚、コートも10着ありました。随分と前から着ていないものもあり、発掘が進むにあたり、いろいろと懐かしい思いが蘇りました。

さて、これらのものをどうしたものでしょうか。これからの人生では「ほんの数着」のスーツがあれば、十分です。かつての会社の後輩にでもあげようかとも考えましたが、逆の立場から考えると「古着をもらう」なんて、このご時世ではただの迷惑です。古着屋さんに売る? メルカリで売る? いえいえ、こんなもの売れる訳がありません。だけど、結構によい品で、それなりに高かったんだよなぁ、などと何ヵ月もグズグズとしていました。

そして、ある日、意を決して、ごみとして収集してもらうことにしたのです。このことを思いきってカミさんに言ってみました。すると、瞬時に「よかったわ、着ないものは全部捨ててね」と言われました。高かったのに勿体ないとか、また、着ることになるかも知れないから取っておけば、などという言葉を予測していたのですが、カミさんはすっぱりとドライに現実を生きていました。結局、私はスーツ3着、ネクタイ10本、コート2着を残して、シャツ以外、残りは全部捨ててしまいました。結構にセンチメンタルな気分になりました。

スーツを捨てる、これは退職者が一つの季節が終わったことを知る通過儀礼の一つなのでしょうね。 正直、退職後、一番こころにダメージを与えたのが、この「スーツとネクタイを捨てる」ということでした。何だか、これまでの自分の人生をすっかり手放してしまった様に思い、寂しい思いがしました。

さて、ワイシャツですが、これはほとんど手元に残しました。外出の度に、もう一生買う必要がない程の数のシャツのコレクションの中から「うん、これがいい!」とばかりに選び、着ているのです。だれも見ていないし、誰も褒めてくれたりはしないのですが。

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