退職すると何故かみんな「断捨離」をします。どうしてでしょうね、会社を辞めたからって、世界が変わったり、自分や家族が変わったりする訳ではないのに。とにかく退職をして、しばらくの間は「やること」ができたのです、ほっとします。私も最初のうち、その真似事をしていましたが、大物(スーツ、コートなどの衣類)を片付けた後は大して本気にもなれず、いつしか手が止まってしまいました。だって、部屋にある細々としたものは、あればあったなりに使うときもあるのです。それに何よりも、私はケチなので。

モノに溢れた生活を送る人の贅沢を戒める言葉に「起きて半畳寝て一畳」というものがあります。確かに生きているだけならば、それだけのスペースがあれば、何も余計なモノなど持たずしても十分です。けれど、そうは言っても馴染のあるガラクタに囲まれて暮らす喜びというのもある訳で。清貧に暮らすことの大切さを端的に表現した「起きて半畳寝て一畳」と言う言葉、私は何とも苦手です。余程の心境の変化でもない限り、これを「したり顔」で口にすることはありません。

今も昔のままなのか分かりませんが、30数年前、一度だけカプセルホテルに泊まったことがあります。名古屋で仕事があり出張したのですが、当時はF1レースが大人気で、鈴鹿周辺だけでなく名古屋周辺のホテルまで、すべてが満室で、ようやく見つけたのが名古屋駅近くの「カプセルホテル」の一室だったのです。

夜遅くにチェックインをしたのですが、ハチの巣の様に積み重なった一人分のスペースに潜り込んで眠らないといけないことを現地に行って初めて知ったのです。そこには、床面積は「一畳」よりも若干広いものの、高さときたら胡坐をかいて座ると頭が天井についてしまう程の空間しかなかったのです。

今まで、そんな強い閉塞感の中で時間を過ごしたことのない私は翌朝まで「まんじり」ともせずに長い時間を過ごしたのです。「起きて半畳寝て一畳」という言葉を聞くと、先ずは「嫌~な気分」になるのは、このときに感じた「恐怖」が無意識に呼び起こされているのかも知れません。繊細さんなんです、私。

ちなみに、一畳とは約1.62㎡(約90cm×約180cm)と不動産公正取引協議会で定められている面積です。ということは、外人さんや最近の若い人だと、「寝て一畳」だと少しはみ出すんですね。そういうときは「畳に斜め」になって寝ると、身長205cm程度までは収まることになります。(三平方の定理) まぁ、無理をせずにもう少し大きな部屋に住むことをオススメします。

「清貧」とか「ミニマリスト」とか「断捨離」とかって、「あこがれ」てしまいがちですが、何にしても、余りに極端に根を詰めないのが退職者が平穏に暮らすコツなのかも知れません。「持たない生活」って、何だか「漂白された」みたいでカッコいいんですけどね。無駄に広い家にいろんなモノが潜んでいる。私はそんな感じが「楽ちん」です。

とは言っても、スーツ、コートに続いて、いよいよ手を付けねばならない「サラリーマン遺産」があります。ビジネスバッグ(カバン)です。それでも15年程前に相当処分したのですが、まだまだ20ケ程!もあるのです。結構に高かったブランド品も幾つかあったりして、ケチ心が痛むのですが、二度と使わないことが余りにも明らかなので、退職をしてから15ヶ月も経った今になって、思い切って捨ててしまうことにします。今年の夏休みの宿題リストに追加です。

それにしても昔のカバンって、まったく機能的じゃなくてびっくりさせられます。ペットボトルも入らなければ、ジムに行くときの着替えも入りません。一体中に何を入れていたんでしょう? 今では思い出せません。

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