昔は「好きなことを仕事にしてはいけない」といい、今は「好きなことを仕事にしよう」などと言います。みんな迷ってしまいます。アメリカ横断ウルトラクイズの国内第一問の「YES/NO選択」以来の難問です。ニューヨークに行きたいかぁ、オー!

中高年の転職や、再雇用なんていうのは、この議論の外側にあって、両陣営からは、「目の前の仕事だけ、言われたとおりにやってよ、おじいちゃん」などとたしなめられてお終いです。まぁね、そんなこと百も承知だよ。

このエントリはそれぞれの陣営のことを理解して、これからの「働く」の新常識を考えてみます。えっ、中高年はどこに出てくるの? 隅っこに少しね。

はじめに「そもそも日本人は仕事に熱意を持てているのか」を知りたいですよね。これについては、少し古いのですが、こんな調査結果が発表されています。

日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが分かった。米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスだった。企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達した。’
※引用元:日本経済新聞社 「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査(2017.5)

これが、「好きなことを仕事にしていない」ことによるものなのかは不明ですが、日本の国際競争力の低下というのは、難しい要因分析をする以前に「今の仕事がキライ、今の会社がキライ」なことに起因しそうです。
気になるのは、この調査結果をどこに紐付けるのかということです。個人のヤル気の問題ではありますが、更にその「根っ子」として、この国の労働観、仕事選択観といったものに踏み込んで考えてみないと、個人に対して「ヤル気をだせ」という注射ばかりをしていては、何も解決はしない様に思います。昔から、その手の研修、随分と受講させられました。ヤル気の出ない研修でした。

<好きなことを仕事にしてはいけない>
守旧派である「好きなことを仕事にしてはいけない」について考えます。
さてさて、世の中の人はどう考えているのでしょうか。

■「好きなこと」が「キライなこと」になる ■行き詰ったときに、心理的に立ち直れなくなる ■好きなことであるゆえに、冷静な判断ができず、自我との間で自分が苦しむ ■オン/オフの区別ができなくなり、疲れる ■そもそも仕事は好きなことばかりできるわけではない ■「好きではないこと」のほうが、自分を成長させる
※出典:JOBRASS調査 好きなことは仕事にしないほうがいい!? 採用担当者が教える、その理由とは(2016.10)

この回答は「採用担当者」によるものなので、きっと採用した人たちの沢山の挫折や悩みを聞いての回答だと思います。ううむ、どうなんでしょう。

<好きなことを仕事にしよう>
次は、勢いのある新興勢力である「好きなことを仕事をしよう」について考えます。同じ調査のデータを眺めます。

■好きなことでないと長続きしない ■苦しくても頑張れる ■楽しい、やりがいを感じられる

「好きなこと」というよりも、自分でやりたいと思ったことであれば頑張れる という感じですかね。「好きなこと=仕事」なんてものは余り考えられないので。

ここまでエントリを書いてきて、頭に浮かんできたことを書いてみます。
先ずは私は、以前は「好きなことを仕事にしてはいけない」派でしたが、今は「好きなことを仕事にしよう」派です。

浮かんだ考え①:「好きなことを仕事にしてはいけない」派の人たちって、結局「仕事と生活」「仕事と自分」というのは別のものだと考えている様に思うのです。
それに対して「好きなことを仕事」派は、「仕事は自分の一部」「仕事で自分を表現していく」と考えている様に思います。
まぁ、仕事をしている時間というのは人生において圧倒的な大部分を占めるので、その時間が楽しいに越したことはありません。きっと、最近の若い人の方がオジサンやオバサンよりも仕事熱心なんですよ。だって、ベンチャーやスタートアップの人たちって、何時まででも、土日だって働きますもの。

浮かんだ考え②:仕事は好きだが会社はキライ、正しくは仕事は好きだが上司はキライ」というのが実はとても根深い問題として日本社会にはあるのだと思います。好きなことをやりたくて会社に入り配属されたところで「よろしくない上司」に当たってしまう。新事業を行うプロジェクトに意気揚々と乗り込んで「よろしくない上司」に当たってしまう。多くの場合、日本企業ではこれでお終いです。役職経験のある中高年は3秒でいいから、胸に手をあてて考えてみてね。
個人のヤル気ではなく、個人の会社における貢献度を明確に、そして公平に判断する様な仕組みがあるとよいのですがね。それこそ「AI」の導入なんてどうでしょう。
まぁ、「よろしくないAI」なんてのが出来てしまうと更に不幸は深まりますが。

中高年ですか? そうですね、自分が納得できればいいんじゃないすか。大してお金にならなくとも、楽しくお小遣いを稼ぎたい。何かの罪滅ぼしとして、我を忘れて働きたい。これまでの自分の仕事の「仕上げ」をきちんと終えたい。いいと思うんすよ、だって、或る意味、中高年は目の前の仕事に純粋に立ち向かっているんすから。
ちょっと「ひろゆき」さん風に言ってみました。

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