昔、誰かが言っていたことで「なるほどねぇ」といたく感心、納得したことがあります。それは、「アメリカ人は問題を先ずは解ける様に作り変えてから解く」、だから、アメリカ人は「世界中に自分たちが解決できないことなどない」と思っているという話です。

結果として作り変えた問題が解決に至っても、それが本来的な解決であるかについては疑問がありますが、「問題」を持て余して右往左往するよりは前向きでいられます。乱暴って言えば乱暴、デリカシーに欠けると言えばデリカシーに欠けるアプローチです。

このエントリでは「世代間格差の全体像」(何となく輪郭が分かる)を私ごときの頭でも「あー、そいうことね」と腹に落ちる様に整理してみたいと思います。多少どころか、多々誤りがあっても、「私が解ける(理解できる)形にする」のがゴールなので、余り痛く責めないで下さいね。まぁ、人並みに社会問題に首を突っ込んでみたいという出来心みたいなもんです。

<世代間格差とは何か>
世代間格差とは「一生の間に政府や自治体から受ける年金、社会福祉をはじめとするサービス(受益)と税や借金などによる負担の差が世代によって異なる事から生じる格差」を言います。 ※出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/30 14:33 UTC 版)

そして、この損得の計算には「世代会計」というのが使われます。正しくお伝えしたいので、「引用」をしてしまいます。
‘個人が生まれてから死ぬまでに国に支払うお金と国から受け取るお金を現在の貨幣価値に換算し、世代ごとに算出したもの。税金や社会保険料、年金保険料など政府に支払う「負担」から年金や医療保険、公共サービスなどで政府から得られる「受益」を差し引いた「純負担額」を世代間で比較する。’ ※引用元:野村證券 証券用語解説集「世代会計」

そして、「世代間格差」とは高齢者世代と若年者世代(現役)の間で、「若年者世代」が不公平を被るという問題です。若年者世代が感じる世代間の「不公平」とは「増えない所得」であり、「厳しい重税感」であり、「貰えるか分からない年金」です。

社会保障における「世代間格差」「世代間不均衡」では、日本がぶっちぎりの第1位なのです。縦(年代別)の比較だけでなく横(国別)でも「不公平」なのですから、若い世代に不満が湧き出るのも当然です。

日本はジュニア世代がシニア世代に比べて2.69倍(169%)の負担をすることになり、米国の1.51倍(51%)、ドイツの1.92倍(92%)、フランスの1.47倍(47%)と言った「文句言いそう」な国よりもはるかに格差が大きいのです。一方で、カナダ(0%)、ニュージーランド(0%)といった国や、逆に高齢者の方が若年層よりも負担の大きい国(スウェーデン-1.22(-22%)倍など)が存在しています。
※出典:未来工学研究所 「日本の社会保障の世代間不均衡は、他国と比較して極めて大きい」(2016.10)

そうだったのか、社会保障問題、年金問題は世界共通のものだと何となく思い込んでいました。日本は少子高齢化のトップランナーなので、やがて他国も日本と同じことになるのかもしれませんが、今のところ「上手くやっている」国もあるのです。

<世代間格差がもたらすもの>
何よりも世代間格差による「不公平感」が社会に充満することで、社会の活力が削がれ、今以上にみんなの心が不寛容になる未来を私は心配しています。常に争う何かや誰かを探している社会、いやだなぁ。

また、世代間格差により、現在は貧困問題として語られる「階級の固定」に一層の拍車がかかることになるかも知れません。日本には長い間「中流」意識があったのですが、これは既に「幻想」であったと言われています。中流から「アンダークラス」と呼ばれる階級(非正規雇用で世帯年収約400万円)にすべり落ちる人たちが増え続けている一方で、ここから「正規雇用者階級」に戻ることは非常に困難なのです。

経済的な弱者である若年者世代はすべり落ちるのではなく、最初からずっと「アンダークラス」のままに「年功序列」の恩恵にも浴せず放置される可能性があるのです。
そして、徐々に階級が固定化し、それは次の世代における「教育機会の格差」にまで引き継がれます。所謂「親ガチャ」問題ですが、いずれ、これも当たり前のことになりかねません。
また、「アンダークラス」、更にはその下の「貧困層」は経済活動における「調整弁」に使われることが多く、「コロナ禍」で最も大きなダメージを受けたのもこれらの階級なのです。

<世代間格差の是正、解消>
現在の年金制度である「賦課方式」の見直し(積み立て方式へ)、年金の財源として保険料ではなく税金を充てる(例えば消費税)、現行の制度とは別に「税を財源とする新しい国民保険を創設する」といったことがこれまでも議論をされてきました。

けれど、現在年金を受け取っている世代、これまでに長期間保険料を払い込んできた世代、まだ払込みの期間が短い世代など、その間に横たわる「不公平」問題がどうしても解決できません。誰だって自分だけ痛みを引き受けたくはないのです。
抜本的な解決が見い出されないままに、取り敢えず制度が破綻しない様に絆創膏を貼りながら、みんなして問題の「先送り」です。少子高齢化(子供少ない、年寄長生き)、恐るべしです。

若年者世代の中でも「恵まれた環境」に育ち、目端が利く様な者たちは、難なくこの格差も乗り越えていくのでしょう。けれど、「普通」に暮らしてきた「よき若者たち」に前の世代のツケが引き継がれる様なことがあってはなりません。高齢者世代、まもなくそこに到達する中高年は「何とか逃げ切れそうだ」などと「はしゃいでばかり」いないで、この問題を一人ひとりが理解し、考えるべきであることがよく分かりました。まぁ、浅薄も浅薄、表面の薄皮一枚くらいしか分かっていない私が言うのも何ですが。

どこかのCMでありましたよね、「考えよう。答えはある」って。

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