毎年の健診、何本も採血をするでしょ。そのとき、何を考えます? 私は昔からの友だちのことを考えます。変でしょ? だけど、何だか落ち着くんですよね。少しも痛くない。

中高年には友人が少ない、友人関係が希薄、何だか最初から結論ありきで、多くの本や、調査がなされています。何だかな、こういうバイアス。どんどん中高年に関するステレオタイプのイメージが出来上がっていきます。そんなに簡単に中高年を一括りにしないでよ。

ということで「中高年は友達がいない哀れな生き物」という記事のアンケート結果を「実際の中高年」である私で検証します。

先ずはじめに、アンケートや統計データから何か結論めいたものを出す作業というのは、多くの場合、はじめから誘導したい自説があって、それに都合よく部品(アンケート回答やデータ)をはめ込んでいくのだと思っています。
つまり、データと結論の間には大きな溝があって、その溝は筆者の考えで埋められているということです。まぁ、文系調査というのはそういうものなので、それをとやかく言うつもりもありませんが、結果として「ツッコミどころ満載」のものとなる訳です。そこが醍醐味だ!と楽しめる様になると「立派な大人」という感じがします。

さて、このエントリで参照し、幾つかのデータの出典とさせていただくレポート、記事はこの二つです。
■友人関係が希薄な中高年男性-調査からみえる日本人の人間関係(放送研究と調査 JUNE 2018) https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20180601_7.pdf
■50代男[友だちゼロ]の衝撃-2人にひとり「友だちがいない」50代男性の衝撃。“一人のほうが楽”に危険な落とし穴(週刊SPA!2/15号) https://nikkan-spa.jp/1810786

先ず、二つの調査/記事を拝読するにあたり、考慮すべき主だった点が二つあります。
①調査対象 ②コロナ禍 です。

前者(以降NHKとします)は、NHK放送文化研究所が、2017年に18歳以上の1,609人に対して行ったものです。コロナ禍前の調査ということになります。ちなみに年代別の回答者数を明らかにせず、割合だけで調査を構成するのはどうかと思います。まぁ、ある年代の回答者が極めて少ないといった大人の都合があったのでしょう。年代別×男女別といったクロス比較ができるのは面白いと思います。

後者(以降SPAとします)は、SPA!取材班が2022(もしくは2021)年に50歳~59歳の男性400人に対して行ったものです。コロナ禍後の調査ということになります。
SPAの調査の方が「調査サンプルが多くて新しいがオヤジに偏っている」ということになっています。

また、なかなか本題に入りませんが、「友だち」「友人」の定義というのは個人差が激しいことと、双方共に認めるものが該当するのか、一方的な片思いでも該当するのかなど、そもそも最初っから「?」だらけの調査ではあります。
ちなみに私がトム・クルーズを友だちだと思っていれば、それはそれで調査への回答として成立しちゃうのかな、「Hi,Tom!」って感じ。まぁ、突っ込むのはこれぐらいにします。

<友人の数>
NHK、SPA双方にある質問項目です。
NHK50代男『20人以上(11%)、10~19人(8%)、4~9人(28%)、2~3人(17%)、1人(4%)、いない(31%)、無回答(1%)』
NHK50代女『20人以上(16%)、10~19人(21%)、4~9人(33%)、2~3人(17%)、1人(3%)、いない(9%)、無回答(1%)』(出典:放送研究と調査 JUNE 2018)
これ、調査結果として分かることは「薄い関係の人を友だちと思いこんでいる人の比率」という微妙なものの様に思います。10人以上いると回答した人、相手に連絡して「僕たち友だちだよね」と確認した方がいいぞ、例え真実がどんなに残酷なものであっても。

SPA『いる(49%)、多分いる(13.8%)、パッと思いつかない(7.6%)、ほとんどいない(12.8%)、いない(16.8%)』(出典:週刊SPA!2/15号)
NHKに比べて選択肢がざっくりしているので、何とも比較、参照し合えないのですが、「ほとんどいない」と「いない」を足すと29.6%となり、これはNHKの50代男の「いない」(31%)とほぼ同じ比率となります。どうやら、このあたりが「実態」なのかも知れません。結構、多いですね。
それで、私の回答は「いる、4~9人」です。心配なので、今日にもLINEでもして「友だちだよね、大丈夫だよね、友だちだって言ってくれよう」と確認(懇願)してみます。結果、「いない」になるかもです。

<悩みごとを相談できるような友人の数>
NHKにおける質問項目です。
NHK50代男『20人以上(2%)、10~19人(0%)、4~9人(12%)、2~3人(36%)、1人(12%)、いない(37%)、無回答(1%)』
NHK50代女『20人以上(1%)、10~19人(1%)、4~9人(15%)、2~3人(63%)、1人(9%)、いない(9%)、無回答(2%)』(出典:放送研究と調査 JUNE 2018)
恐らくこの回答こそが、本来の「友人の数」なのではないかと思います。
それで、私の回答は「いない」です。えーっ、本当は友達なんていないじゃん。ということなのですが、悩み事を誰に対しても相談するという習慣が私にはないのです。悩みというのは自分で抱えて、困り抜いて、何かポコっと答えがでる。ずっとそうやってきたのです。
NHK調査における50代男で「いない(37%)」と回答した方は私と同じ流派の方なのです。結構いるんですね、そんな人も。

<職場と家庭以外に、自分の居場所だと思える場所はありますか>
SPAにおける質問項目です。
回答は、『ない(27.5%)、ほぼない(38.4%)、多分ある(15.3%)、ある(18.8%)』となっています。(出典:週刊SPA!2/15号)
これ、少し、私としては回答「ある」に驚いたのです。普通、職場と家庭以外に居場所ってあるものなのでしょうか? 勝手に想像するに息子の家(すげぇ迷惑)、不倫相手の家(おいおい)、馴染のお店(いらっしゃい)、サークル活動(俳句とか囲碁とか)…
これらを「居場所」と考えるというのは「職場と家庭が不幸、何らか満たされないことがある」と言っている様なものではありません? これ、友人関係以前の問題で、「ある」人の方がどちらかと言うと不幸な気がします。不幸な人:34.1%か…結構、辛いですね。
それで、私の回答は「ない」です。普通の人(65.9%)の一人ってことです。職場は職場で働くところですし、家にいるのは大好きですしね。

2週間ほど前に7年ぶりくらいに学生時代の友人と会いました。
ここしばらくの間、彼は辛い日々を過ごしていたらしいのですが、昔どおりに優しくて、穏やかで、僅か90分程度の「町中華」での再会でしたが、楽しい時間を過ごすことができました。

友人の辛い日々が終わり、お互いに笑いながらいろいろな話ができたり、野球の試合でも見に行けたらよいなと思うのです。野球場で飲むビールって、何であんなに美味しいんですかね。

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