インフラが寸断されてしまうと今や私たちの生活はお手上げです。電気、ガス、水道、そして、電話とインターネット。思えば、他人任せの随分と危うい生活を送っている訳です。災害地の状況を報じるニュースを見ていて、停電、断水といった言葉を聞く度に何だか胸が苦しくなります。

今の日本では、数日の間こういった状況をしのげば何とかなるという安心があり、その間を凌ぐだけの準備をしておけば、大事には至りません。乾電池、卓上コンロ用のガスボンベ、ミネラルウォーター、簡単に調理できる食品などを備蓄することぐらいが「自分でできること」の限界だったりします。

そうそう、水洗トイレを使うために「風呂の残り湯」を流さずにおいておくなんてのは結構に有効です。トイレで1回に流す水量は約4リットルで、風呂桶にはる水量は約200リットルとされていますから、大体50回はこれで賄えることになります。2人暮らしだったりすると5日間ぐらいは何とか凌げる計算になります。

こういったこと以外にも「自分では何もできないこと」が世界に渦巻いています。それは「不平等/格差」であり「不公平」であり「人の心に潜む狡猾さ」だったりします。特に行き過ぎた資本主義の結果、今や「世界の成人人口の上位1%に当たるおよそ5100万人の富裕層だけで、世界全体の個人資産の37.8%を保有している」のだそうです。(フランスの研究グループの調査

この傾向、この状態は是正される気配もなく、コロナ禍にあっても痛みはすべて低所得者層、弱いものに集中し、富裕層はかえって「利益が拡大した」のだそうです。何だか救われないことになっています。

今、各所で意思決定へのAI適用、メタバースなどのデジタルによる仮想世界の実現、Web3の到来といった変革が始まっています。これにしても、結局は新たな「格差」が生まれてしまうのでしょう。

「便利になる」「新しい体験(エキスペリエンス)ができる」「個人間の自由なコミニュケーションが拡大する」なんて言ったところで、これを実現し、運営していくためには巨大な資本が必要です。そして、富めるものにとって「弱者からお金を吸い取る」新しい仕組みがまた一つ出来上がる訳です。

「いいんだよ、おじいちゃんは黙ってその一部でも楽しんで、消費をしていれば」。まぁ、そうなんでしょうね。けれど、「自分のリアリティ」を守るために、せめて、今起きていることを理解して、自分としての考えぐらいは持っておきたいと思うのです。

NHKさんの欲望の資本主義2022夏 特別編 「メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス」』なんて夏の怪談を聞いて、いろいろと考えてしまいました。

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