「社長」って呼ばれたい訳でも、一国一城の主になりたい訳でもありません。ただ、気持ちよく仕事をしたいだけなのです。きっと、50代で独立する人って、そんな思いなのかなと思うのです。自分の技や経験に自信と誇りを持ち、これを土台にして、できる限り長い間、「仕事をする喜び」の中に身を置いておきたい。

私なんぞ、小手先ばかり器用で「その場しのぎ」の技しか身に着けてこなかったので、そもそも「独立」など選択肢には上がって来ないのです。昔、かつて上司だった人がどこかのパーティーの様な席で初見の人に「こいつは昔、私のところにいて、まぁ、小器用な奴です」と紹介してくれたことがあり、妙に納得したのです。「はじめまして、小器用なわたしです」

そんな私ですから、ムリして独立しても、次の季節に移る前に沈没です。それに、私がやりたいこと、楽しいと思うことは、独立なんかしたら、忙しくなってしまって、できなくなってしまいます。仕事はキライではありませんが、愛しているとまではいかなかった私は、仕事にもまた愛されなかったのです。幸せな合意です。

さて、独立開業に関する新しい意識調査のレポートを見つけました。
※出典:株式会社Dai 独立開業に関する意識調査(2022.2)

<独立に関心がありますか>
全体:既に独立している(9%)、独立予定(6.1%)、独立に興味がある(25.8%)、興味はない(59.1%)
50代(男):既に独立している(17.3%)、独立予定(1.4%)、独立に興味がある(22.8%)、興味はない(58.7%)
50代(女):既に独立している(3.3%)、独立予定(0.9%)、独立に興味がある(16.5%)、興味はない(79.2%)

<(独立検討者に対し)独立できるようなスキルが身についていると思いますか?>
全体:そう思う(28.1%)、どちらかといえばそう思う(37.3%)、そう思わない(34.6%)

正直、予想外でした。「興味はない」が90%くらいなのかと思っていました。まぁ、50代、独立という勝負ができる最後の年代でもありますしね、きちんと選択肢として考えるというのは素晴らしいことです。本当に私なんざ、今日も反省です。
「スキルが身についていると思うか」という問いに対する回答は恐らく謙遜の部分もあるのかと思いますが、「身についていない」と回答した35%弱の人たちは一体何が「成功を確信させるもの」なのか、教えてもらいたいところです。オリンピック精神の様なものが「独立」にもあって、「独立することに意義がある」みたいなことなのかしら。そこまで「独立」に人を駆り立てるものは何なのでしょう。

<独立を検討している/独立に関心がある理由>
50代(男):収入を増やしたい(39.3%)、現在の働き方に不満がある(23%)、スキルを活かした(13.1%)、未経験ジャンルに挑戦したい(18%)
50代(女):収入を増やしたい(50%)、現在の働き方に不満がある(19.2%)、スキルを活かした(7.7%)、未経験ジャンルに挑戦したい(15.4%)

<独立の資金はどのように考えていますか>
50代(男):融資予定(14.8%)、金額によっては融資予定(45.9%)、自己資金のみ(39.3%)
50代(女):金額によっては融資予定(32%)、自己資金のみ(68%)

このエントリの最初に書いた様な「いつまでも仕事をしたい」なんて美しい思いよりも、やっぱり「金」なんですね。それから「不満」。「現在の働き方に不満がある」「スキルを活かしたい」という回答の中には、「いつまでも仕事をしたい」という思いも含まれている様にも思いますが。

それに、みんなチャレンジャーですよね。「未経験ジャンルに挑戦したい」という人が男女共に15%強います。凄いバイタリティです。私も今の仕事に再就職した際には「未経験ジャンル」でしたが、所詮「雇われ」ですからね。未経験の仕事で独立、考えるだけでクラクラします。

更には資金調達、女性の方が現実的ではありますが、男性にいたっては「融資予定」が15%弱もいるのです。そもそも融資が通るのかしら?と心配になります。

「幸せ」に毎日を過ごすために「独立」という選択肢が50代も限りなく終わりかかっている私にもあるのか、少しだけこのエントリで確認をしてみました。答えは「まったくなし」でした。独立して生きていくために必要なもの、スキル、情熱、資金、思い込み…といったすべてが私にはありません。まぁ、小器用っていうだけで独立できる程、世の中甘くはないですからね。

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