コロナ禍の前はオフィスの机の上に「XXさんの出張のお土産」などといって、日本国中の「ちょっとしたお菓子」が必ず幾つか転がっていたものです。あれ、残業してるときに結構有難いものだったのです。何度も命を救われました。そう、あれはオフィスの遠い日の思い出。

客先、取引先との商談や、技術支援サービス(修理、保守、点検など)といったものを除けば「実は不要な出張」というのは昔から沢山あった訳です。社内会議、研修、種々の社内イベント等といったものは、ここ10年程の間のTV会議システムやWEB会議システムの普及により、コロナ禍の前から徐々に置き換わっていたのですが、今回の騒動でほぼ止めが刺されたのだと思います。
きっと、パタっとこれらのものが無くなっても「誰も困らなかった」というオチが付いているのです。まぁ、出張は「来られちゃった方」が大変だったに違いありません。特に出張者がエラい人だとあれもこれも準備が必要で、きっと「それが仕事」の様な人もいたのです。社内失業しちゃいましたかね。

また、コロナ禍で客先や取引先から「来ないでくれ」と要請が出されました。そうですよね、「自分の仕事に関連して出張してきた社外の人経由で社内にコロナが持ち込まれる」なんて、その後始末だけでも気が遠くなります。更に「そのお詫びにお伺いさせて下さい!」なんて、先方から言われた日には眩暈がしてしまいます。くわばらくわばら。

それでは、「出張」の現状をネットから拾ってみます。

<出張の市場規模(国内)>
そもそも今回のコロナ禍がなくとも、「出張」は経費削減のメインターゲットとして目を付けられていたのです。
2017年末時点のレポートによると『出張の市場規模は2015年:3兆2922億円から、2020年:3兆1861億円、2025年:3兆44億円に減少し、2030年には2兆7821億円となる』。2015年からの15年間で、市場規模は15%の縮小見込みだったのです。※出典:日本本政策投資銀行 「出張マーケットに関する動向と今後 ~出張旅行のツーリズム業界におけるインパクト~」(2017.12)

これがコロナ禍でどうなったかと言うと、「出張の市場規模」自体の最新データは見つけられませんでしたが、観光庁によると、
♪2015年の日本人国内旅行消費額:2015年(20兆9,547億円)→2021年(9兆1,215億円)
とのことですので、日本人による国内旅行消費額はコロナ禍の影響が無かった2015年に比べ、43.5%弱にまで縮小してしまいました。 ※出典:観光庁 旅行・観光消費動向調査

これを乱暴に「出張の市場規模」に適用すると、2021年の「出張の市場規模:1兆4,330億円」ということになります。実際には厳しい出張規制もあり、この数字よりも少ないものと思われます。出張客が中心だったビジネスホテルや飲食施設などは大打撃だった訳です。

<企業の出張規制>
何らかの出張規制が行われている企業は全体の51.3%であり、その内訳は「一律禁止:12.4%」「一部条件付き禁止(出張先の制限など):22.9%」「不要不急の出張自粛:16.0%」となっています。中でも「一律禁止+一部条件付き禁止」を足した数字では、従業員数が大きい会社において顕著であり、従業員500人以上の会社に限ると約6割が「要件が何であれ、出張は禁止」としています。※出典:株式会社マイナビ 「新型コロナウイルス感染拡大による出張への影響調査」(2020.3)
今から2年前の2020年3月の調査なので、状況は今と異なっているものと思いますが、オミクロン株の大規模感染などから、「状況は変わっていない」「今の方が厳しい」ということも考えられます。

会社からすると「何だよ、出張行かなくたって、遠隔地でのビジネスも回ってるじゃん」ということでもあり、コロナが日本のビジネス慣習(対面が大事、自分を買ってもらうのがビジネスなど)を変えてしまったのです。
テレワークによる働き方改革も合わせ、今までどんな偉大な経営者でもできなかった劇的なコストカットを僅か「0.1マイクロメートル」のコロナが成し遂げたのです。まぁ、「コロナには勝てませんよ」ということで。

<出張の楽しみ>
最後に「幸せな時代」に日本のサラリーマンが出張に見出していた「楽しみ」を思い出して下さい。
Q:(出張が好きと回答とした全体7割に対して)出張の楽しみは何ですか?
A:1位(その土地のグルメを楽しめる)、2位(旅行気分を味わえる)、3位(空き時間に観光地に立ち寄れる)、4位(普段より自由な時間が増える)、5位(出張手当が出る)、6位(
交通機関やクレジットカードのマイル(ポイント)が溜まる)
※出典:ライフネット生命 「ビジネスパーソンの出張ライフ」に関する意識調査(2010.11)

恐らく二度と戻らない素晴らしき日々です。あはは、これって、働いていませんよね。

出張からの帰路、職場へのお土産のお菓子、そして缶ビールと適当なツマミを買って新幹線に乗ります。列車がゆっくりと動き始めてから、缶ビールをプルトップをプシュと開け、先ずはゴクリと飲みます。あーっ、美味しい。どんどん幸せになっていって、缶ビールが足りなくなると社内販売のワゴンで追加分を買い、これもまたプシュとします。

記憶があるのはこれくらいまでで、次に目が覚めると終着駅も間近となっています。
さぁ、ここから乗り換えて家まで更に数十分、そろそろ出張もお終いです。

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