キンモクセイの花が咲き始めました。例年より2週間程度遅い気がします。木の近くに立つと、まだ「咲き始め」だというのに甘い独特の香りが周囲に漂っていて、何だか安心します。今年も会えたね、そんな感じです。
3連休の初日、東京の郊外では、ほぼ一日を通して弱い雨が降り続きました。気温も急激に下がって、愛猫はホットカーペットの上でゴロゴロしています。どこにも行かず、さして何もしない。こういう退屈で、何も起きない一日を与えてくれたすべてのものに感謝です。
結局、ずっと昔にニンゲンが好むもの、いいなと思うものは既に出来上がって、「カタチ」になっていた様に思うのです。MLBのプレーオフをTVで観ていたら、そんなことが頭に浮かんできました。一時期は人気が低迷した、オワコンだなどとしきりに言われていたベースボールですが、どこの球場でも満員のファンが訪れ、プレーの一つ一つに我を忘れて大騒ぎです。老若男女を問わず、人それぞれの違いもまったく関係なく。
インターネットをはじめとする様々なテクノジーが、世界や人々の暮らしを大きく変えてしまっても、多くの人たちがこの古いボールゲームに夢中なのです。ゲームを楽しむ、贔屓のチームの応援をするのに、言葉も面倒な説明も不要で、万国共通のルールさえ知っていれば、球場にいても、TVの向こうに座っていても、誰もがその瞬間を楽しむことができます。
野球のルールが定められたのが1845年で、米国のナショナルリーグができたのが1876年、アメリカンリーグができたのが1901年で、両リーグの間でワールドシリーズが行なわれる様になったのが1903年なのだそうです。日本にベースボールが伝わったのが1872年で、それから瞬く間に国民を虜にして、学生野球が始まり、高校野球が始まり、社会人野球が始まり、ついには1936年にはプロ野球(NPB)が始まります。
こんなに長い間、ほとんどルールも変わらずに、ずっと同じ様にプレイが続けられ、愛されてきたというのは本当に奇跡の様に思えます。ベースボールには人が「大事にしたい」「好ましい」と思っているものが、ぎっしりと詰め込まれているのです。
ルールの下では対戦する2チームが公平であること、試合では反則が起きようもなくフェアであること、個があってチームがあること、相手があってはじめて試合ができること、努力が報わること、報われない努力もあること、幸運も不運も起きること、あのときのプレイを語り継げること… ニンゲンが好むものは、最初にゲームのルールが決まってから180年が過ぎても少しも変わることがないのです。
私に最期のときに訪れて、次の世界に旅立ち、そこで再び父親に会えたとしたら、きっとベースボールのことも話題にすると思うのです。「父さんがいなくなってから、日本人選手が何人もMLBで活躍したんだよ」ってね。
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いよいよWin10のサポート期間が10/14に終了します。結局、我家では1台だけWin11に更新して、残り(5台)はLinuxやchromeOSに移行しました。職場の人と話をすると、ほぼ全員が「自宅のPCはWin10のまま」だそうです。というか、そもそも「家でPCをしばらく使っていない」とのこと。確かにスマホがあれば、何でもできちゃうからね。